会社を売ろうと考えた時、
多くの経営者が一度は気になると思います。
「自分の会社はいくらで売れるのだろう」
私自身もそうでした。
会社売却について調べると、
無料査定。
企業価値算定。
利益倍率。
純資産。
DCF。
さまざまな言葉が出てきます。
M&A仲介会社などへ相談すれば、
「御社の会社価値はこのくらいです」
と査定額を提示されることもあります。
もちろん、査定を受けること自体は悪いことではありません。
私も会社価値を考えるために、数字を整理し、いろいろな考え方を確認しました。
ただ、実際に会社を売却した今思うのは、
査定額は、会社の「定価」ではない
ということです。
査定価格。
自分の希望価格。
実際の成約価格。
私は、この3つは分けて考えた方がいいと思っています。
今回は、会社売却の査定額を見る前に、経営者として知っておきたい6つのことを書きます。
1.査定額は「会社の定価」ではない
まず最初に、
私は査定額を、
「自分の会社はこの価格です」と確定する数字
だとは考えていません。
会社価値を計算する方法には、
純資産を基準にする方法。
利益を基準にする方法。
将来のキャッシュフローを見る方法。
似た会社の取引を参考にする方法。
などがあります。
どれも、会社価値を考えるための材料になります。
ただ、
計算方法が違えば数字も変わることがあります。
前提条件が変われば、結果も変わります。
さらに、実際の会社売却では、
その価格でも会社を欲しいと思う買い手が必要です。
つまり、
計算された会社価値と、実際に会社が売れる価格は同じとは限りません。
査定額は、
一つの重要な参考資料。
私はそのくらいに考えるのがいいと思っています。
2.「自分が欲しい金額」と「会社の価値」は別
会社売却を考えると、
どうしても、
「これくらい手元に残したい」
「この金額なら売ってもいい」
と考えます。
それ自体は当然だと思います。
私にも、
自分なりに納得できる条件がありました。
ただ、
自分が欲しい金額と、会社そのものの価値は別
です。
例えば、
自分が大きな金額を欲しいからといって、
会社価値がその金額になるわけではありません。
見るべきなのは、
売上。
利益。
純資産。
現預金。
借入。
顧客。
事業の仕組み。
認知や信用。
将来性。
買い手との相性。
そうした会社そのものです。
私は、
「自分はいくら欲しいのか」
だけではなく、
「なぜ、この会社にはこのくらいの価値があると考えるのか」
を説明できることの方が重要だと思っています。
3.純資産だけで会社価値が決まるわけではない
会社には、
長い時間をかけて積み上げてきたものがあります。
利益。
顧客。
取引先。
人材。
仕組み。
認知。
信用。
ノウハウ。
こうしたものの中には、
決算書だけでは十分に表現できないものもあります。
例えば、
会社に一定の純資産があるから、
その金額だけで会社を評価する。
それで売り手も買い手も納得するのであれば問題ありません。
ただ、
事業そのものが今後も利益を生み出せるのであれば、
そこには事業としての価値もあります。
だから私は、
貸借対照表に残っているものだけで会社全部の価値を考える必要はない
と思っています。
一方で、
売り手が、
「長年苦労してきたから価値がある」
と言うだけでも足りません。
大切なのは、
その積み上げたものが、
買い手にとってどんな価値を生むのか
まで説明できることだと思います。
4.DCFなどの計算方法も「一つの考え方」として見る
私が会社価値について考えた時、
興味深いと思った方法の一つがDCFでした。
簡単に言えば、
今後その会社がどのくらいキャッシュを生み出すのかを考え、
将来性も含めて会社価値を見ていく考え方です。
私は会社価値算定の専門家ではありません。
ただ、
会社の過去だけではなく、
これから生み出す価値まで考える
という考え方は合理的だと感じました。
もちろん、
都合のいい事業計画を作ればいい、
という話ではありません。
その計画に根拠があるのか。
本当に実現可能なのか。
なぜ売上が伸びるのか。
なぜ利益が増えるのか。
説明できなければ意味がありません。
だから、
DCFでも利益倍率でも純資産でも、
私は、
「どの計算方法が正解か」ではなく、「その数字にどんな根拠があるのか」
を見る方が大切だと思っています。
5.査定価格・希望価格・成約価格は全部別物
会社売却では、
いろいろな「価格」が出てきます。
専門家が算定した査定価格。
売り手が希望する価格。
買い手が提示する価格。
最終的に合意する成約価格。
これらは、
必ずしも同じにはなりません。
例えば、
査定額より高い価格でも、
その会社をどうしても欲しい買い手がいれば話が進む可能性があります。
反対に、
売り手が高い希望価格を設定しても、
その価格で買いたい相手がいなければ成約しません。
だから私は、
会社価値算定は理論。売却価格は交渉の結果。
くらいに分けて考えています。
会社には定価がありません。
最終的には、
売り手と買い手が、
「この条件なら売る」
「この条件なら買う」
と合意した価格が成約価格になります。
ここを分けて考えるだけでも、
一つの査定額に振り回されにくくなると思います。
6.査定額が低かったからといって、焦って売る必要はない
会社売却を考えて査定を取り、
想像より低い金額が出たら、
「自分の会社はこの程度なのか」
と思ってしまうかもしれません。
でも私は、
一つの査定額だけを見て、
会社の価値を決めつける必要はないと思っています。
なぜ、その価格になったのか。
どんな前提条件なのか。
何が評価されているのか。
何が評価されていないのか。
そこを確認する。
そして、
必要なら会社をさらに良くしてから考える。
別の買い手を探す。
条件が合わなければ経営を続ける。
いろいろな選択肢があります。
特に、
今すぐ売らなければ困る状態ではないのであれば、焦って結論を出す必要はありません。
会社売却は、
査定を受けた瞬間から売却義務が発生するわけではありません。
査定は、
あくまで経営者が判断するための材料の一つです。
売却交渉中でも会社を止めない
これは、私自身の経験から非常に大切だと思っていることです。
会社を売ることを考え始めると、
気持ちが売却へ向いてしまいます。
すると、
「どうせ売るのだから、新しいことはもうやらなくていい」
と思ってしまうかもしれません。
私は、それは少し危ないと思っています。
M&Aは、
最後まで成立するとは限りません。
途中で条件が変わることもあります。
買い手側の事情が変わることもあります。
話そのものがなくなることもあります。
だから、
売却交渉中でも会社は動かす。
顧客を増やす。
利益を出す。
仕組みを改善する。
新しい施策も続ける。
私は、
「売れなければ、自分でこの会社をもっと伸ばす」
くらいの状態で交渉する方がいいと思っています。
そうすれば、
納得できない条件を無理に受け入れる必要もなくなります。
「売らなくてもいい状態」は価格交渉でも強い
会社売却では、
売り手側に余裕があるかどうかも大きいと思います。
どうしても今売らなければならない。
資金繰りが厳しい。
この買い手を逃したら困る。
そういう状況では、
条件が合わなくても断りにくくなります。
反対に、
売却しなくても経営を続けられる。
利益を改善できる。
会社をさらに成長させられる。
そう思えるのであれば、
「その条件なら売りません」
と言えます。
私は、
会社を高く売るためのテクニック以前に、
「別に今売れなくても困らない会社」を作っておくこと
が非常に重要だと思っています。
売れたら売る。
条件が合わなければ続ける。
この状態を作れると、
会社売却の見え方はかなり変わると思います。
私自身も「納得できなければ売らない」と決めていた
私も会社売却を考えた時、
何でもいいから会社を売りたい、
という状態ではありませんでした。
自分なりに、
会社価値を考えました。
数字も確認しました。
そして、
納得できる条件にならなければ売らない、
と考えていました。
条件が合わなければ、
また自分で経営する。
もう一度会社を伸ばせばいい。
そういう選択肢を残した状態で、会社売却へ動きました。
ただ、
頭の中で考えるのと、
実際に売却へ動くのは違います。
どんな買い手が現れるのか。
こちらが考える会社価値をどう見るのか。
本当に納得できる条件になるのか。
動いてみなければ分からないこともありました。
その頃のことはNOTEの連載でも書いています。
▶ 第44話「いよいよ売却に向けて動く」
https://note.com/shira_biji/n/n77c4b739f923
査定額を見る前に、経営者自身が考えておきたいこと
もし今、
「自分の会社はいくらで売れるのか」
と考えているのであれば、
私は査定額だけを見る前に、次のことを整理します。
- 査定額は会社の定価ではない
- 自分が欲しい金額と会社価値は分ける
- 純資産だけでなく事業価値も考える
- 算定方法より、その数字の根拠を見る
- 査定価格・希望価格・成約価格を分ける
- 条件が合わなければ売らない選択肢を残す
そして、
一番大切なのは、
「なぜ、自分の会社にはこの価値があるのか」
を経営者自身が説明できることだと思います。
会社価値を構成するものについては、こちらの記事で詳しく書いています。
▶ 会社売却の目安はいくら?自分の会社の価値を見る7つのポイント
https://shacho-baikyaku.com/company-sale-value-guide/
また、
なぜ同じ会社でも買い手やタイミングによって価格が変わるのかについては、こちらです。
▶ 会社を売る相場はどう決まる?利益の何倍だけでは決まらない6つの理由
https://shacho-baikyaku.com/company-sale-market-price/
会社売却の査定額が気になっている社長へ
会社売却を考え始めれば、
査定額が気になるのは当然だと思います。
私自身もそうでした。
でも、
査定を受けることと、
その価格で会社を売ることは全く別です。
査定は、
経営者が判断するための材料。
最後に、
売るのか。
続けるのか。
その価格なら納得できるのか。
決めるのは経営者本人です。
会社売却を考え始めた頃、私自身も分からないことがたくさんありました。
そこで実際に会社を売却した経験から、
「会社を売ろうと思った社長へ。売却前に私が知っておきたかった7つのこと」
を無料音声にまとめています。
売却を勧めるための内容ではありません。
売るのか。
続けるのか。
もう少し会社価値を高めるのか。
まだ答えを決めていない社長の方に、一つの経験談として聞いていただければと思っています。
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