会社売却の目安はいくら?自分の会社の価値を見る7つのポイント

売却価格・条件交渉

会社を売却しようと考えた時、多くの経営者が最初に気になるのは、

「自分の会社はいくらで売れるのだろう」

ということだと思います。

私自身も、もちろん考えました。

M&A仲介会社などに相談すれば、会社価値について一つの目安を提示してもらうことはできます。

ただ私は、

「専門家から提示された数字=自分の会社の価格」

とは考えていませんでした。

会社には定価がありません。

最終的な売却価格は、売り手と買い手が合意して決まります。

だからこそ私は、

自分自身でも「なぜこの会社には価値があるのか」を考えておくこと

が大切だと思っています。

今回は、実際に会社を売却した経験から、自分の会社の価値を考える時に私なら見る7つのポイントを書きます。

1.まず見るのは売上と利益

会社価値を考える時、やはり売上と利益は重要です。

どれだけ売上があるのか。

どれだけ利益を残せているのか。

利益は継続しているのか。

一時的なものなのか。

こうした数字は、買い手にとっても重要な判断材料になります。

ただ私は、

利益だけを見ればいいとは思っていません。

ある程度の売上がある会社であれば、買い手によっては改善できる余地があります。

仕入れを見直す。

価格を見直す。

経費を見直す。

人員配置を変える。

不採算な部分を整理する。

そうすることで利益が改善する可能性があります。

つまり、

現在の利益だけではなく、

「この事業には、どれくらい売上を作る力があるのか」

も見られると思っています。

2.会社に何が残っているのかを見る

会社の価値を考えるのであれば、

売上や利益だけではなく、

会社の中に何が積み上がっているのか

も確認します。

現預金。

資産。

借入。

在庫。

設備。

契約。

その他、会社に残っているもの。

同じ売上、同じ利益の会社でも、会社の中身が違えば価値の見え方は変わります。

会社売却では、

表面上の売却金額だけを見ても、本当の条件は分かりません。

会社に何を残した状態で引き渡すのか。

どの資産が含まれるのか。

どの負債を引き継ぐのか。

そこまで含めて考える必要があります。

だから私は、

会社価値を見る時は、損益だけでなく貸借対照表の中身も見る

という感覚を持っていました。

3.顧客や取引先との関係にも価値がある

決算書には、そのまま数字として表れないものがあります。

例えば、

長く付き合っている顧客。

継続的に取引している会社。

リピートしてくれる顧客。

安定した販売先。

こうした関係です。

新しく会社を作ったからといって、翌日から同じ顧客基盤が手に入るわけではありません。

顧客から信用される。

取引先から信用される。

継続して仕事をもらえる。

ここまで持っていくには時間がかかります。

だから私は、

今後も売上を生み出す可能性のある顧客基盤

にも会社価値があると思っています。

買い手が、

「この顧客へ自社の商品も販売できる」

「この取引関係を活用できる」

と思えば、買収する意味はさらに大きくなることがあります。

4.認知度や信用は決算書には載らない

私が会社価値を考える時に、かなり重要だと思っているものがあります。

それが、

認知度と信用

です。

会社名を知っている。

サービスを知っている。

顧客から一定の信用がある。

市場の中で一定の存在感がある。

こうしたものは、決算書にはそのまま載りません。

でも、ゼロから作ろうと思えば時間がかかります。

広告を出せば、一時的に人を集めることはできます。

しかし、

「この会社なら安心だ」

と思ってもらえる状態は、短期間では作れません。

買い手からすれば、

すでに市場で認知されている会社を買うことで、

ゼロから信用を作る時間を短縮できる

場合があります。

私はそこにも価値があると思っています。

5.会社の「仕組み」が残っているか

会社を買う側からすると、

社長だけが仕事を分かっている会社より、

仕組みとして事業が動いている会社

の方が引き継ぎやすいと思います。

顧客をどう集めるのか。

問い合わせをどう受けるのか。

商品やサービスをどう提供するのか。

誰が判断するのか。

売上をどう管理するのか。

問題が起きた時にどう対応するのか。

こうしたものが、

経営者本人の頭の中だけではなく、組織や仕組みとして残っている。

これは会社価値を考えるうえで大切だと思います。

売上や利益が同じでも、

社長がいなくなった瞬間に止まる会社と、

社長が交代しても事業が続く会社では、

買い手から見た意味は違います。

だから私は、

「この会社は、自分がいなくなっても動くのか」

という視点でも会社価値を考えます。

6.今の数字ではなく「これから伸びる理由」があるか

買い手が会社を見る時、

過去の数字だけを見ているわけではありません。

この会社を買ったら、これから何ができるのか。

どのくらい伸ばせそうなのか。

自社とのシナジーはあるのか。

新しい顧客へ届くのか。

新しい市場へ入れるのか。

こうしたことも考えると思います。

だから、

今の売上や利益だけではなく、

「この会社を買うことで、買い手にはどんな未来があるのか」

まで説明できる会社は強いと思っています。

会社売却を考えたからといって、会社の成長を止める必要はありません。

むしろ、

新しい売上を作る。

新しい顧客を作る。

会社の仕組みを整える。

会社をさらに良い状態にする。

そうして、

「この会社を買えば、まだ伸ばせそうだ」

と思ってもらう。

私は、その方が会社価値を高めることにつながると思っています。

7.同じ会社をゼロから作るなら、どれくらい時間がかかるか

私は会社価値を考える時、

もう一つ重要なものがあると思っています。

それが、

時間です。

もし今ある会社と全く同じ会社を、

今日からゼロから作るとしたらどうでしょうか。

事務所は借りられます。

設備も買えます。

ホームページも作れます。

人も採用できます。

でも、

顧客から信用されるまでには時間がかかります。

市場で認知されるまでにも時間がかかります。

取引先との関係を作るにも時間がかかります。

社員が経験を積むにも時間がかかります。

利益や資産を会社に積み上げるにも時間がかかります。

つまり、

会社を買うということは、

場合によっては、

その会社が何年もかけて積み上げてきた時間を買うこと

でもあると思っています。

お金を出せば、明日同じ会社が完成するわけではありません。

私は、この時間にも会社価値があると思っています。

売り手が考える価値と、買い手が考える価値は違う

ただし、

ここで注意したいことがあります。

自分が、

「この会社にはこれだけの価値がある」

と思っていても、

買い手が同じように考えるとは限りません。

会社を作った本人は、

どうしても過去を見ます。

ここまで作るのにどれだけ時間がかかったか。

どれだけ苦労したか。

どれだけ投資したか。

どれだけ失敗したか。

全部知っています。

でも、

買い手が見るのは主に未来です。

この会社を買って何ができるのか。

どれだけ利益を出せるのか。

どんな顧客を得られるのか。

どんなシナジーがあるのか。

つまり、

売り手が感じる価値と、買い手が感じる価値は必ずしも同じではありません。

会社売却が進みやすいのは、

売り手が積み上げてきたものと、

買い手がこれから欲しいものが一致した時だと思います。

会社価値の「目安」と実際の売却価格は別

会社価値を計算する方法はいくつもあります。

純資産を見る方法。

利益を見る方法。

将来の収益を考える方法。

似た会社の取引事例を見る方法。

専門家に依頼すれば、こうした方法で一つの会社価値を出してもらうことができます。

それは参考になります。

ただ私は、

算定された会社価値と、実際に成立する売却価格は別物

だと思っています。

最終的な売却価格は、

売り手と買い手が話し、

条件を調整し、

双方が納得したところで決まります。

会社に定価がない以上、

一つの計算結果だけが絶対的な正解になるわけではありません。

自分でも「なぜこの会社に価値があるのか」を説明する

私は、

仲介会社や専門家に会社価値を計算してもらうこと自体は良いと思っています。

ただ、

それだけで終わらせない方がいいと思います。

自分自身でも、

「なぜ、この会社には価値があるのか」

を考える。

売上なのか。

利益なのか。

顧客なのか。

認知なのか。

仕組みなのか。

将来性なのか。

会社に積み上がった資産なのか。

それとも、

長い時間をかけなければ作れない何かなのか。

それを自分の言葉で説明できるようにしておく。

売り手自身が会社価値を説明できないまま、

「もっと高く買ってください」

と交渉するのは難しいと思います。

「この価格以下なら売らない」という基準を持つ

そして、もう一つ。

会社売却をするのであれば、

自分なりの最低ライン

を考えておいた方がいいと思います。

最終価格を一方的に決めることはできません。

買い手が納得しなければ取引は成立しないからです。

でも、

「この条件以下なら自分は売らない」

という判断はできます。

会社を売ることは義務ではありません。

納得できる買い手が現れない。

納得できる価格にならない。

条件が合わない。

そうであれば、

売らずに会社を続けるという選択もあります。

私自身も、自分なりの会社価値と、

「ここより下なら売らない」

という基準を持ちながら会社売却へ動き始めました。

その頃のことはNOTEの連載でも書いています。

▶ 第44話「いよいよ売却に向けて動く」
https://note.com/shira_biji/n/n77c4b739f923

会社売却の目安を知りたい社長へ

自分の会社はいくらで売れるのか。

これは、会社売却を考え始めたら当然気になることだと思います。

ただ私は、

利益の何倍。

純資産がいくら。

という数字だけで会社価値を決める必要はないと思っています。

会社を見る時には、

  • 売上と利益
  • 会社に残っている資産や負債
  • 顧客や取引先
  • 認知度や信用
  • 事業の仕組み
  • 今後の成長性
  • 会社が積み上げてきた時間

こうしたものも含めて考える。

そして、

「買い手はなぜ、この会社を欲しいと思うのか」

まで考えてみる。

そこまで整理すると、

自分の会社の価値が少し見えやすくなると思います。

また、売却価格を考えるのであれば、

最終的に手元にいくら残るのかも確認しておいた方がいいと思います。

▶ 会社売却の税金で手取りはどう変わる?売却前に確認したい5つのこと
https://shacho-baikyaku.com/company-sale-tax-net-proceeds/

会社売却を考え始めた頃、私自身も分からないことがたくさんありました。

そこで、実際に会社を売却した経験から、

「会社を売ろうと思った社長へ。売却前に私が知っておきたかった7つのこと」

を無料音声にまとめています。

売却を勧めるための内容ではありません。

売るのか。
続けるのか。
もう少し会社価値を高めるのか。

まだ答えを決めていない社長の方に、一つの経験談として聞いていただければと思っています。

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