「会社を売ろうか。」
一度でもそう考え始めると、その言葉が頭から離れなくなることがあります。
会社を売った方がいいのか。
このまま経営を続けた方がいいのか。
もう少し会社を成長させてから考えた方がいいのか。
私自身も、会社を売却する前はかなり迷いました。
実際に会社を売った今振り返ると、最初に考えた方がいいのは、
「自分の会社はいくらで売れるのか」ではありません。
まず整理した方がいいのは、
「なぜ、自分は会社を売りたいと思い始めたのか」
だと思っています。
この記事では、実際に会社を経営し、最終的に売却した経験から、会社を売るか迷っている時に私なら最初に考える5つのことを書きます。
会社を売るか迷ったら、最初に答えを出さなくてもいい
会社売却を考え始めると、
「売るなら早く動いた方がいいのではないか」
「一度仲介会社に相談した方がいいのではないか」
と思うかもしれません。
もちろん、情報収集すること自体は悪くありません。
ただ私は、
まだ自分自身の答えが出ていない段階で、急いで売却を決める必要はない
と思っています。
会社を売る。
会社を続ける。
誰かに経営を任せる。
もう一度会社を成長させる。
どれも選択肢です。
大切なのは、先に「売却ありき」で考えないことです。
1.業績が良くなっても、この会社を経営したいか
私が会社売却を考え始めたきっかけは、
会社そのものが完全に悪くなったからではありませんでした。
会社に売上がある。
利益も出せる。
すぐに会社を手放さなければならない事情があるわけでもない。
それでも、
以前ほど会社経営に熱中できなくなっていました。
そこで私は、
一つのことを考えるようになりました。
「もし会社の業績が今より良くなったとして、自分はこの会社をもっと経営したいと思うのだろうか。」
ここはかなり重要だと思っています。
業績が悪いから嫌なのか。
それとも、
業績が良くなっても、もう経営したいと思わないのか。
この二つは全く違います。
一時的な業績悪化が原因なら、会社を立て直すことで気持ちが戻る可能性があります。
でも、
会社が良くなっても自分が経営を続けたいと思わないのであれば、
売却を考える理由は会社ではなく、
経営者本人の気持ち
にあるのかもしれません。
2.会社を辞めたいのか、社長を辞めたいのか
これも分けて考えた方がいいと思います。
会社の事業そのものが嫌なのか。
社長という役割に疲れているのか。
社員の問題に疲れているのか。
毎日の判断に疲れているのか。
それとも、
別のことをやりたいのか。
同じ「会社を売りたい」という気持ちでも、理由は違います。
例えば、
会社自体は好きだけれど、
自分がすべてを判断することに疲れているのであれば、
売却ではなく、
経営を誰かに任せるという方法もあります。
一方で、
会社そのものへの興味が薄れ、
もう別のことをやりたいのであれば、
売却という選択肢が現実的になることもあります。
だから私は、
会社売却を考える時、
「会社を辞めたいのか、社長を辞めたいのか」
を一度分けて考えた方がいいと思っています。
3.自分がいなくても会社が回るなら、持ち続けたいか
会社を売らず、
経営を誰かに任せる。
これも一つの選択です。
実際、私自身も考えました。
自分は別のことをする。
会社の経営は誰かに任せる。
利益が出るのであれば、会社を持ち続けてもいいのではないか。
そういう考え方もあります。
そこで自分に聞いてみる。
「自分が毎日会社へ行かなくてもいいなら、この会社を持ち続けたいか。」
もし答えが「はい」なら、
本当に辞めたいのは会社ではなく、
経営者としての仕事なのかもしれません。
逆に、
自分が経営しなくても、
会社そのものを手放したいと思うのであれば、
売却を考える意味はあります。
会社売却は、
「経営するか、売るか」
の二択ではありません。
間にいくつもの選択肢があります。
4.まだ会社を良くしたいと思えるか
私は会社経営で問題が起きると、
以前は、
「では、どうやって直そうか」
と考えるのが好きでした。
競争が激しくなれば、新しい方法を考える。
売上が伸びなければ、新しい施策を考える。
組織に問題が出れば、作り直す。
そういうこと自体が面白かった。
ところが、
ある時から、
問題が起きた時に、
「どうやって解決しよう」
より、
「またこれをやるのか」
という気持ちが出てくるようになりました。
経営者であれば、
一時的に疲れることは誰にでもあると思います。
だから、
一度そう感じたから売る、
という話ではありません。
ただ、
時間が経っても、
会社をもっと良くしたい。
もっと大きくしたい。
新しいことをやりたい。
という気持ちが戻らないのであれば、
それは一つのサインかもしれません。
私の場合、
会社売却を考え始めた最初のきっかけは、
企業価値でも売却価格でもなく、
自分自身の気持ちの変化でした。
5.売った後に何をするかより、「今なぜ売りたいか」を考える
会社を売る前に、
「売却後に何をするのか決めておいた方がいい」
と言われることがあります。
もちろん、考えておくことは悪くありません。
ただ私は、
売却後の人生を完璧に決めておく必要まではないと思っています。
実際に会社を売って、
環境が変わって初めて分かることもあります。
それよりも、
売却前に考えておいた方がいいのは、
「今、自分はなぜ会社を売りたいと思っているのか」
だと思います。
会社に問題があるからなのか。
経営に疲れたからなのか。
別のことをやりたいからなのか。
会社を持ち続ける意味が自分の中で薄れたのか。
ここを整理する。
私は、
会社売却を考える最初の作業は、
企業価値の計算ではなく、
自分の気持ちを言葉にすること
だと思っています。
私が会社売却を考え始めた最初のサイン
私の場合、
昔は会社へ行くこと自体が楽しみでした。
新しい施策を考える。
実行する。
結果を見る。
改善する。
それを繰り返すことが面白かった。
ところが、
いつの頃からか、
以前ほど会社へ行きたいと思わなくなりました。
会社そのものが嫌いになったわけではありません。
社員が嫌いになったわけでもありません。
事業が完全に悪くなったわけでもありません。
ただ、
「もっとこの会社を大きくしたい」
という気持ちが以前ほど強くなくなった。
そして、
「自分ではない誰かが経営した方が、この会社にとっていいのではないか」
と考えるようになりました。
そこから、
会社売却が現実的な選択肢になっていきました。
この頃のことは、NOTEの連載でも詳しく書いています。
▶ 第36話「売却という選択肢。終わったはずの会社に、新しい出会いが訪れる」
https://note.com/shira_biji/n/nb91961c37f7b
仲介会社へ相談する前に、自分の答えを少しだけ整理する
会社売却を考えた時、
M&A仲介会社へ相談すること自体は悪いことではありません。
買い手を探す。
会社価値を考える。
必要な手続きを知る。
専門家だからこそ分かることがあります。
ただ、
仲介会社が決めてくれないことがあります。
自分は本当に会社を売りたいのか。
これは、
最後は自分で決めるしかありません。
だから私は、
仲介会社へ相談する前でも、
次のことくらいは自分の中で考えておくといいと思っています。
会社が良くなったら、まだ経営したいか。
社長を辞めたいのか、会社を手放したいのか。
誰かに任せれば続けたいのか。
まだ会社を成長させたいと思うか。
なぜ今、売却という言葉が頭に浮かんでいるのか。
すぐに答えが出なくても構いません。
考えること自体に意味があります。
「売る」「続ける」「価値を高める」の3つで考える
会社売却を考え始めると、
どうしても、
「売るか、売らないか」
の二択になりがちです。
でも私は、
もう一つあっていいと思っています。
売る。
続ける。
会社価値を高めてから、もう一度考える。
この3つです。
今すぐ売る必要がない会社であれば、
一度会社を良くしてから考えてもいい。
会社価値を高めることは、
売る場合にも、
売らない場合にも無駄にはなりません。
だから、
会社を売るか迷っている段階では、
急いで結論を出す必要はないと思っています。
まず、
「自分は本当はどうしたいのか」
を整理する。
私はそこからでいいと思います。
会社を売るか迷っている社長へ
もし今、
「会社を売ろうかな」
という言葉が頭に浮かんでいるのであれば、
一度だけ自分に聞いてみてください。
「自分は、まだこの会社をもっと良くしたいと思っているか。」
そして、
「この会社を経営することに、まだ熱中できているか。」
答えがすぐに出なくても大丈夫です。
私自身も、
すぐには決まりませんでした。
ただ、
この問いを考え続けたことで、
少しずつ自分の答えが見えてきました。
会社売却を考え始めた時、
私は分からないことだらけでした。
そこで、
実際に会社を売却した経験から、
「会社を売ろうと思った社長へ。売却前に私が知っておきたかった7つのこと」
を無料音声にまとめています。
売却を勧めるための内容ではありません。
売るのか。
続けるのか。
もう少し会社価値を高めるのか。
まだ答えを決めていない社長の方に、
一つの経験談として聞いていただければと思っています。
▼無料音声を受け取る
https://lin.ee/tm25Z55
