会社を売ると、
経営者の人生はどう変わるのか。
会社売却を考えたことがある経営者なら、一度くらい想像したことがあると思います。
大きなお金が入る。
仕事をしなくてもよくなる。
自由になる。
生活が大きく変わる。
私自身も、売却前は多少そんな想像をしていました。
でも、実際に会社を売ってみると、
一番意外だったのは、
表面的な生活は、思っていたほど大きく変わらなかったこと
でした。
変わったのは、
生活そのものというより、
頭の中と、人生の選択肢
でした。
今回は、実際に会社を売却した後、私自身に起きた7つの変化を書きます。
1.「終わった」と感じたのは、お金が入った瞬間ではなかった
会社売却では、
契約をする。
会社を譲る。
取引が完了する。
当然私は、
最後の取引が完了した瞬間に、
大きな達成感があるものだと思っていました。
でも、実際には少し違いました。
私の場合、
「やった」
という感覚より、
「これで本当に終わったんだな」
という感覚の方が強かったです。
そして一番近かったのは、
興奮より、
安心
でした。
会社を経営している間は、
最後はすべて経営者の責任です。
売上。
利益。
社員。
取引先。
問題が起きた時の判断。
次に何をするのか。
それをずっと背負っています。
売却が終わった時、
私は、
会社を売ったというより、
長く背負ってきたものを次の人へ渡した
という感覚の方が強かったです。
会社売却は、お金を受け取る瞬間以上に、
経営責任を引き渡した時に、
初めて実感するものなのかもしれません。
2.一番大きく変わったのは「頭の中」だった
会社を売って、
私が最も大きく変わったと思うのは、
頭の中です。
会社を経営していた頃は、
会社にいる時だけ仕事を考えていたわけではありません。
来月の売上。
利益。
社員。
新しい施策。
問題。
今後の成長。
次は何をやるのか。
会社を離れていても、
頭のどこかでは常に会社のことを考えていました。
それが、
売却後は突然なくなりました。
来月の売上を考えなくていい。
会社で起きている問題を、自分が解決しなくていい。
社員から何か相談があっても、
最後の判断をするのは自分ではない。
それまで常に動き続けていた頭の中に、
急に大きな空白ができました。
これは、
売却前には想像できませんでした。
会社を売る前は、
「仕事がなくなる」
くらいに考えていました。
でも実際には、
仕事がなくなるというより、責任を考え続けなくてよくなる。
こちらの変化の方が、私には大きかったです。
3.時間の使い方を自分で選べるようになった
会社を経営している時には、
当然ながら会社を優先します。
やらなければいけない仕事がある。
会わなければならない人がいる。
問題が起きれば対応する。
予定は、
自分だけで決められるものではありません。
会社を売った後は、
それが変わりました。
今日何をするのか。
誰と会うのか。
仕事をするのか。
休むのか。
自分で決められるようになります。
私自身、
最初は少しゆっくり過ごしました。
それまでできなかったことをしたり、
何もしない時間を作ったりしました。
ただ、
私の場合は長期間何もしない生活にはなりませんでした。
別の仕事の話が入り、
また少しずつ動き始めました。
でも以前とは違います。
「仕事をしなければならない」のではなく、「仕事をすることも選べる」
という状態でした。
この違いは、
想像以上に大きかったです。
4.「自由になった」より「選択肢が増えた」が近かった
会社売却について、
「会社を売れば自由になる」
と言われることがあります。
それも間違いではないと思います。
ただ、
私の感覚では、
自由になるというより、選択肢が増える
という方が近いです。
仕事をしてもいい。
休んでもいい。
新しい事業を始めてもいい。
誰かの会社を手伝ってもいい。
面白くなければやらなくてもいい。
会社を経営している時にも、
もちろん選択肢はあります。
でも、
会社を前へ進めるためには、
何かを決めなければいけません。
経営者には責任があるからです。
売却後は、
選択肢が目の前にあっても、
「何も選ばない」こともできる。
私は、
会社を売って得たものの中で、
これが非常に大きかったと思っています。
5.人間関係も変わった
会社を売ると、
人間関係も変わります。
経営者だった頃には、
多くの人から連絡があります。
取引先。
営業。
提携先。
経営に関する相談。
会社に関係するさまざまな人たち。
でも、
会社を離れれば、
当然そうした連絡は減ります。
私は、
それを寂しいとはあまり感じませんでした。
むしろ、
人間関係が整理された
という感覚でした。
今までの付き合いの中には、
自分個人との関係ではなく、
「会社の社長」としての関係もあります。
それがなくなる。
一方で、
会社を売った後だからこそ始まる関係もありました。
会社売却について聞きたい。
経営について話をしたい。
仕事とは関係なく会ってみたい。
そういう関係です。
会社という看板を外した後、
自分自身と付き合ってくれる人が見えやすくなる。
これも、
売却後に感じた変化の一つでした。
6.「社長」という肩書きと、自分自身を分けて考えるようになった
会社を長く経営していると、
自分の中でも、
「会社」と「自分」が近くなっていきます。
社長であること。
会社を成長させること。
売上を作ること。
それが日常になります。
だから、
会社を売った後、
「社長ではなくなった自分は何者なのか」
という感覚が出る経営者もいると思います。
私自身も、
会社を離れてみて、
一度考えました。
ただ、
時間が経つにつれて、
社長という肩書きそのものには、
以前ほど意味を感じなくなりました。
私が好きだったのは、
肩書きではなく、
何もないところから事業を作ること
だったのだと思います。
アイデアを考える。
試す。
顧客に受け入れられる。
売上が生まれる。
会社が成長する。
その過程が好きだった。
そう考えると、
会社を売ったからといって、
自分までなくなるわけではありません。
むしろ、
会社と自分を一度分けて考えられるようになった。
これは私にとって大きな変化でした。
7.会社売却は「終わり」ではなく、次を選べる状態だった
会社を売る前は、
売却が一つの大きなゴールのように見えていました。
長く作ってきた会社を売る。
経営者ではなくなる。
一つの章が終わる。
もちろん、
実際に一つの区切りではあります。
でも、
売却後に感じたのは、
人生そのものが終わるわけではない
という当たり前のことでした。
新しい会社を作ってもいい。
全く違う仕事をしてもいい。
誰かを手伝ってもいい。
しばらく何もしなくてもいい。
私の場合、
会社売却は、
ゴールというより、
次の人生を選べる状態を作ること
に近かったです。
会社を売る前より、
選択肢が増えました。
そして、
生活のためだけに仕事をする必要がなくなったことで、
「何をやれば儲かるか」だけではなく、
「自分は何をやりたいのか」
を考えられるようになりました。
私は、
会社を売った一番大きな変化は、
ここだったと思っています。
生活そのものは、意外と大きく変わらなかった
会社売却というと、
急に生活が派手になるようなイメージを持つ人もいるかもしれません。
私の場合は、
そうではありませんでした。
食べるもの。
普段の生活。
時間の過ごし方。
表面的には、
それほど大きく変わりませんでした。
変わったのは、
何かをたくさん買えるようになったことより、
「自分の働き方を自分で選べる」
という安心感です。
会社を売る前には、
経営を続けることが前提でした。
売却後は、
続ける必要がありません。
やりたければやる。
やりたくなければやらない。
この違いの方が、
私には大きかったです。
会社を売れば悩みが全部なくなるわけではない
会社を売れば、
人生の悩みが全部なくなる。
当然ですが、
そういうことでもありません。
悩みの種類が変わります。
以前は、
売上。
利益。
社員。
会社の問題。
次の施策。
そうした悩みでした。
売却後は、
次に何をするのか。
誰と仕事をするのか。
自分の時間を何に使うのか。
何をやりたいのか。
そういう悩みに変わります。
ただ、
私にとって以前との大きな違いは、
選べること
でした。
嫌ならやらない。
合わなければ断る。
休みたければ休む。
面白ければやる。
悩みがなくなるのではなく、
自分で選べる悩みに変わった。
そんな感覚です。
売却後に何をするか、全部決めておく必要はないと思う
会社売却について調べると、
「売却後の人生を事前に決めておいた方がいい」
という意見もあります。
もちろん、
決めておきたい人は決めればいいと思います。
ただ、
私は必ずしも全部決める必要はないと思っています。
実際に会社を売らなければ分からない感覚があるからです。
環境が変わる。
会う人が変わる。
時間の使い方が変わる。
新しい話が入ってくる。
そうすると、
売却前には考えていなかったことに興味が出ることもあります。
私自身も、
売却後の人生を細かく決めていたわけではありません。
でも、
それを後悔していません。
会社を売った後、
実際に新しい環境を経験してから、
次にやりたいことを考えてもいい。
私はそう思っています。
会社を売るとどうなる?私が感じた7つの変化
実際に会社を売って、
私が大きく感じた変化は次の7つでした。
- お金が入ったこと以上に、経営責任を引き渡した感覚が大きかった
- 頭の中から会社の問題を考え続ける必要がなくなった
- 時間の使い方を自分で選べるようになった
- 「自由」より「選択肢が増えた」という感覚だった
- 人間関係が整理された
- 「社長」という肩書きと自分自身を分けて考えられるようになった
- 会社売却は終わりではなく、次を選べるスタートになった
もちろん、
これは私自身の経験です。
会社売却後の感じ方は、
経営者によって違うと思います。
売却条件も違う。
売却後も会社へ残る人もいる。
すぐ退任する人もいる。
次の会社を始める人もいる。
しばらく休む人もいる。
だから、
「会社を売れば必ずこうなる」
という話ではありません。
ただ、
売却前には価格や税金だけに目が向きがちですが、
会社を売った後に変わるのは、銀行口座の数字だけではない。
私は、
これは売る前に知っておいてもいいと思っています。
会社売却で従業員がどうなるのか気になる場合は、こちらの記事でも書いています。
▶ 会社売却で従業員はどうなる?社長が売る前に考えたい6つのこと
https://shacho-baikyaku.com/company-sale-employees/
また、
私自身が実際に会社売却を終えた時のことは、NOTEの連載にも書いています。
▶ 第46話「イグジット完了。私の中で大きな章が終わった日」
https://note.com/shira_biji/n/n484825684389
会社を売るか迷っている経営者へ
会社を売る前は、
どうしても、
いくらで売れるのか。
税金はいくらなのか。
社員はどうなるのか。
そうしたことを考えます。
もちろん、
全部重要です。
でも実際に売ってみると、
その後に待っているものは、
お金の話だけではありません。
会社という責任が変わる。
時間の使い方が変わる。
人間関係が変わる。
仕事との付き合い方が変わる。
そして、
自分の人生の選択肢が変わります。
私自身、
売却する前には分からなかったことがたくさんありました。
そこで、実際に会社を売却した経験から、
「会社を売ろうと思った社長へ。売却前に私が知っておきたかった7つのこと」
を無料音声にまとめています。
会社売却を勧めるための内容ではありません。
売るのか。
続けるのか。
もう少し会社価値を高めるのか。
まだ答えを決めていない社長の方に、
一つの経験談として聞いていただければと思っています。
▼無料音声を受け取る
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